INTERVIEWS

2021/11/01

経営コンサルから起業した教育事業 株式会社あしたの寺子屋 に聞く DRIVE 活用法

明日の寺子屋

SAPPORO Incubation Hub DRIVE では、多様な業種の方々が入居しています。今回は、株式会社あしたの寺子屋、代表取締役社長 嶋本 勇介さんとCOO(最高執行責任者) 山田 佳介さんに DRIVE 活用法をお聞きします。気になる事業内容も合わせて、DRIVE Community Staff 大河原さくらと神門崇晶がお話を伺います。

さ:大河原さくら 神:神門崇晶

—— さ:最初に「あしたの寺子屋」の事業の具体的な内容を教えてください。

嶋本:最近、社内で大事にしていることが「世界を広げる一歩目を応援する」ということです。色々な人と出会う中で「こんな人になりたい!」と思うことは札幌や DRIVE だと当たり前かもしれませんが、例えばクラス替えが全くない地域や、新しい大人と会わないような環境があるんだ、という事実があることを北海道にUターンをしてきた時に知りました。でも逆に、そういった所から世界を広げる一歩目や応援してくれる大人がいさえすれば、色々なものを聞けるし、出会えるし、話せるし、最高ではないかなと。そういった一歩目を応援する場所や人を作っていこう、ということが事業のコンセプトです。内容について言うと、大きく2つの事業をやっています。1つ目が、常設の「あしたの寺子屋」という場所です。カフェや子ども食堂などを中に作って、そこで日本中の色々な人の話を聞いたりだとか、それぞれの子どもにあったプロジェクト学習(興味に沿った学び)をサポートする、という事業です。2つ目が、夏休みなどに期間限定で子どもたちが大学生や社会人と触れ合えることができる場所を提供する、「あしてらCAMP」という事業です。

—— さ:具体的に、子どもたちとはどういった活動をしていたのでしょうか?

山田:北海道上士幌町では、わっか(上士幌町生涯学習センター)という場所をお借りして、中学生と高校生を対象とした10日間のサマーキャンプを行いました。その日やることはあらかじめ決めず、好きな時間に来て、自分のやりたい学びを選び、自由に参加することができます。宿題に取り組む子もいれば、大学生と進路について話す子もいます。息抜きにバスケなど色々やったり、時にはワークショップを開いたりして、色々な学びを提供していました。

嶋本:ガチガチのカリキュラムを組む、というより寧ろ彼ら自身が自分で過ごし方を決められるようにしています。上士幌町の例だと、僕らが彼らと一緒にいることができるのは10日/365日なので、残りの355日を後押しできるような10日間にしたかったんです。

—— さ:子どもたちと接する上で意識していることは何かありますか?

嶋本:「就職どうするの?」みたいに、なぜか僕らが上から問いただすことが結構あると思うんですけど(笑)。そういうの聞く前にまずは自分たちの好きなものを探そう、という話をスタッフが話してくれていたのが印象に残っています。だから、コミュニケーションをとる時は、まず好きなミュージシャンや音楽などを自分から言ってから関係を構築していこうと。やっぱり、関係性を作ろうとする中でこういった入口は大事だなと再認識しました。とりあえずこちらから何か言って、それを受け取れるか受け取れないかは相手が決める、子どもたちの可能性を狭めないということを意識してました。

—— さ:その中で、子どもたちに起こった変化などありましたか?

山田:その上士幌町での10日間は、13時から19時まではいつ来ていつ帰ってもいいという場の設計にしていました。例えば、初日に母親に行けって言われたから来た女の子は、勉強することが苦手だったんですけど、一緒に行った大学生たちと触れ合うと日を追うごとに勉強したいってなってきて、13時前にはもう来ているというとても前向きな姿勢に変わっていましたね。

嶋本:気付きとして、関係性が固まってしまっている環境だと矢印を太く自分に向けてくれる時間はあまりないんだなと。「いま、あなたの話を聴くよ」と、恥じらいなくそういう言葉をかけてくれる人はあまりいないように、子どもたちも感じてしまうのかなぁと。でも、10日間しか一緒にいないので別にバラされる心配もないから、逆に心理的に何でも話していいと思える人(大学生)が、その女の子にできたんだと思います。

—— さ:「斜めの関係」みたいな、ちょっと上のお兄さん・お姉さんという立ち位置だからこそ、大学生がいいんですね。

嶋本:そうなんですよ。僕も大学生の時、塾講師をやっていて「なんであのおっさん講師たち、ハマらないんだろうな」と思ってたんです(笑)。それは単純に下手なのではなくて、中高生にとっては年齢が近い大学生の方に惹かれるということなんです。

山田:年齢が倍以上になってしまうと、僕たちみたいな大人は子どもたちにとってイメージのつかない将来だと思われてしまうのではないかなと。

—— さ:年齢関係なく大学生と同じように、子どもたちと触れ合っていたんですか?

山田:最初は僕らも同じように関わっていたんですけど、大学生が子どもたちの心をグッと掴んでくれたので、途中からは彼らが気兼ねなく子どもたちと触れ合えるような環境作りに徹しました。

嶋本:今のは、COOとしての表面の回答です(笑)。山ちゃん(山田 佳介)はクールガイに見えるけど情に厚いタイプなんです。夜中何してるのかなと思って聞いたら、高校生のために読書感想文の書き方の資料を作ってたんです。なので、大学生も僕ら社会人もその子たちのオーダーに合わせて喰らい付きながらやっていました。

—— 神:そもそも、お二人が教育に関心を向いた出来事って何だったのでしょうか?

嶋本:僕は本当にシンプルで、親が教師だったんです。 父は札幌市の現職の校長で。家帰っても先生、学校行っても先生って感じだったんです。勉強を教えたりすると、分かってもらえて嬉しいとか、いい点数取ったら褒められるっていうので、人に教えるとかいいなと思いはじめて。いよいよそれを仕事にしたいなって思ったのは、塾講師をやってる時でした。20人か30人くらいのクラスを持つんですけど、めっちゃみんな頭いいんですよ。なのにその子達が高校出て、大学に行くとめっちゃ悩んでいて。与えられてきた宿題をしてきたのに、大学に入った途端、君が問いを作りなさいって急に手のひらを返されてるんです。そのような子たちを30人寄り添うのは僕は無理だけど、人生で1人から2人くらいなら寄り添えるかもしれないと思って。五十嵐さん(株式会社大人 代表取締役)みたいな人がキャリアの先輩で合う人もいるし、さくらちゃん (DRIVE Community Staff) みたいなのが合う人もいると思うんですよね。色々な人で協力し合いながらではないと無理だなって思った時に、その環境どうやって作れるのかなって思いました。かつて教師志望だった僕は、事業とかビジネスとかをやった方がいいのかな、と思ってたんですよね。そういう、自分の教育に携わる道筋みたいなのがあったっていう感じですね。

あと卒業生にも言われたんですよね。志望校行けました、でも私にはやりたいことがありません、授業も何選んでいいか分かりません、なので、大学辞めますみたいな。まあ今となっては「いいじゃん」なんですが、その時の僕は「難しいよね」としか答えられなくて。「難しいよね」って答える自分でいいのか、その子への申し訳なさが自分の初期的原動力ではありますね。

—— さ:山田さんはどうですか?

山田:僕は小学校5、6年生の時の担任の先生がきっかけです。その先生のようになりたいと思っていました。「自学ノートをつけろ」というのをその先生に言われたんです。毎日なんでもいいから書いて出したら、A とか B とか評価をつけてくれて。それで勉強の習慣がついたのと、勉強のやり方とか面白さがわかったんですよね。それで、先生という職業は人生に変化を起こすことができるんだって思いました。ただ、先生は尊い職業だという前提のもとですけど、自分が先生になって毎年同じものを教え続けることを考えると、ちょっと僕には合わないかなと思ったんです。どうやって人に対する変化を起こして行こうかと思ったら、やっぱり誰でも基本的には組織に属しているなと思ったので、組織と人との関係性の中でどう上手く人の心を変えていくとかをやっていけたらいいのかなと思い、コンサルティング会社に入ったという流れです。結果、やり切ったとは言えないんですけど、でももうやっぱりど真ん中教育に行くのがいいんじゃないかって思って、あしたの寺子屋に来ました。

—— さ:2人の出会いを伺いたいのですが、嶋本さんが山田さんを「あしたの寺子屋」に誘った、という認識で合っているのでしょうか?

嶋本:本当に誘ってないんですよ!結果、誘ったということになるんですけど。(笑) 当時、COO(最高執行責任者)を探していたことは事実です。前職の時代に、コンサルの能力が非常に高くてチームの中でも評価されている同期の山田という人がいるとは聞いていたんです。だから、そういう山田くんが推薦してくれる誰かいい人がいないかな、というLINEを彼に送ったら、「強いていうならオレだ」みたいな激アツな返信が返ってきたという(笑)。

山田:「強いていうならオレだ」に(笑)ついてるから!笑 そんなカッコつけた感じじゃなくて、もっとくだけた感じです。ちょうど転職活動を半年間くらいしていて、全然良いところがないなと思っていた時にそのLINEが来たんです。そこで「あ、コレじゃん」と。でも、勤務地を聞いたら北海道だと。最初、事業の詳しい内容はあまり聞いていなかったんですが、嶋ちゃんと一緒にできるということがすごく大事で。あとは、ずっと教育に関することがやりたいと思っていて、転職活動を教育系にしようかなと考えていた矢先にそのLINEが来たので飛び込んだ、という感じですね。運命的なLINEだと思っています。笑

—— さ:ここからはDRIVEのお話を聞いていきます。最初になぜDRIVEを選んだんですか?

嶋本:完全に環境ですね。ホワイトボードとか結構大事なんですよね。会議の時に使えるのはすごく良いです。

山田:そもそも、コワーキングとかが嫌いなタイプなんです。カフェなど人がいる環境で全然仕事できなくて。でも、やっぱり DRIVE さんは環境が優れているので。笑 どこかのマンションの一室を2人で借りると絶対息苦しくなっているだろうし、スタッフの方がいて、会員さんがいてというのは良いなと徐々に感じてきました。

嶋本:物理的に広いっていうのも大事だと思います。フリーランスの人とか僕らみたいな事業会社で複数名というタイプがいると思いますが、後者の人たちはスペースとして広いというのは大事なのかもしれないです。

—— さ:DRIVE 内の出会いが事業に生かされたりとかはありますか?

嶋本:僕は割と長い期間いるので、上士幌に来てくれたうらら(DRIVE community staff)とか、たまたまコミュニティマネージャーのケンティーが紹介してくれた、会員の石田さんにサマーキャンプを見てもらったりとかしています。あとは、藤間さん(DRIVE 代表 兼 Founder)や北海道新聞社さんから、人を紹介してもらったりとかいうのは、事業を成長させるきっかけを作れる点は他のコワーキングスペースだとなかなか無いですよね。

—— さ:最後に、ドライブに期待することと、これからのあしたの寺子屋について聞かせてください。

山田:個人的なことから入ると、僕自身かっこいい大人であり続けたいなと思っています。それと、コンサルタントからCOO(最高執行責任者)になる働き方ってあるんだって思ってくれる人がいればいいなと思っています。会社的に言うと、寺子屋を各地に1,000拠点作ることが僕らの目指してるところです。僕らが作る寺子屋が教育における正解とは思っていないので、寺子屋を作る過程でいろんな人とディスカッションしながら「やっぱ寺子屋は要らないね、うちの地域ではそれ以外でいいね」というのは、それはそれで望ましいし、寺子屋が必要だねってなったら、そういった環境を作っていければいいなと思っています。その中で、DRIVE さんには、僕らの事業は僕らだけではできないので、色んな仲間がいて、共感してくる人がいて、そういう人たちと出会える場所であったらありがたいというのと、常に快適なワークスペースであり続けてくれるとありがたいですね。

嶋本:会社として最近は、「大きな揺らぎと流れを作る」っていう話をしています。寺子屋という場をきちんと一つ作り上げると言うのは、それはそれで尊いけれども、それじゃあ日本中が変わって行かないと思っています。10年後、20後に向けて、どうしたら日本全体が大きく変わるのかとか、誰もが一歩目を応援してくれて、世界中のどの人とも繋がれるをいかに当たり前にしていく流れを作っていくかというのを考えています。たとえば、かつてトビタテ!留学 JAPANっていうのがあって、留学って大学生でも行けるよねってなって。ある意味、パラダイムシフトみたいものが起きていて、同じようにどこに暮らしていてもどこに住んでいてもあらゆる機会が繋がれて、それはお金持ちだけのものではないんだっていうのを地域の大人も子供もみんなも感じられるような場をつくっていきたいです。そのための1,000拠点であり、そのための揺らぎを作ることであり、僕らの会社でもあります。

僕らの事業に、DRIVE の人たちも関われたら良いなと思います。極論言うと、さくらちゃんも神門くんも、サマーキャンプとか一緒にやれたらいいなと思いますし、大人にとっても学びの場所になるんですよ。僕自身も気付きがあったように、大人も子供たちと本気で対話して、彼らは彼らの問いに答えられなかったりすると、自分の人生観に立ち戻ることがあると思っていて。大人達も大学生も学べてよかったね、北海道ってどこに住んでても色々な地域の人と関わりながら自分の人生もアンラーン(新しく学び直すこと)できるよね、みたいなことができるといいなっていうのは妄想で思っています。

僕らはそういう仕事をして、お互いの仕事を通して良い学びのきっかけになって、さらにその先のお仕事のご縁になったり。そういうことができると、北海道の教育にとっていいし、あしたの寺子屋にとっていいし、会員さんにとってもいいし、そういうのがやりたいですね。

—— さ:ぜひ、あしたの寺子屋 × DRIVE、実現させたいですね。今日は貴重なお話、ありがとうございました!